双子で高額ヘルメット治療に踏み切った、父が守りたかった子どもの未来
1. きっかけは、ふとした違和感から
きっかけは、ある夜、妻と何気なく話していたときのことでした。
「なんか、二人とも頭の形がちょっと…いびつかもね」
そんな一言が、私の中に小さな違和感として残りました。
それからというもの、気になりだすと、余計に気になる。
お風呂のとき、寝かしつけのとき、ふとした瞬間に「やっぱり少し歪んでるかも」と思ってしまう。
そうなると、不安も出てきます。
「このまま成長したら、将来、自分の頭の形を気にするようになるかもしれない」
「容姿って、思っている以上に、心に影響を与えることもあるよな…」
何とかしてあげたほうがいいのか。
でも、気にしすぎなのかもしれない。
そんな悩みが、頭から離れなくなりました。
2. 気にしすぎ?それとも見過ごせない何か?
ネットで調べても、出てくるのは断片的な情報ばかり。
「ヘルメット治療って本当に必要なの?」
「うちの子は、そこまで歪んでるのか?」
そんな疑問に、はっきり答えてくれる体験談はなかなか見つかりませんでした。
友人に聞いても、「そのうち治るよ」「気にしすぎじゃない?」という反応がほとんど。
周囲に同じ悩みを持つ人がいない孤独感と、
「自分が神経質すぎるのかも」という迷いが、日々の中でじわじわと広がっていきました。
3. 専門医の言葉で、現実と向き合う
そんなある日、偶然お会いした小児科の先生に、思い切って相談してみました。
すると、返ってきたのはこんな言葉でした。
「一度、専門の病院で診てもらってみては?」
すぐに先生に病院を紹介してもらい、診てもらうことにしました。
紹介された専門外来の待合室は、私が想像していた誰もいない静かなクリニックとはまったく違いました。
そこには、関西圏のあちこちから来たであろう、真剣な表情の親子連れがたくさん。
みんなヘルメットをかぶっていました。
「自分たちだけじゃなかったんだ」と、少し安心すると同時に、
この問題の深刻さを実感しました。
診察では、特殊な装置で頭の形を詳細に測定。
そして、先生から伝えられた結果に、私たちは言葉を失いました。
「お二人とも、かなり歪みが進んでいます。標準よりも、かなり悪い状態です」
「ちょっと気になる程度だろう」と思っていた私たちは、
この言葉でようやく現実を受け止めました。
4. 100万円の治療費と、親としての覚悟
治療の説明とともに提示されたのは、双子で約100万円という費用。
自由診療のため保険は効かず、決して軽い金額ではありません。
「そこまでしてやるべきなのか?」
「子どもに負担をかけることにならないか?」
迷いはありました。
でも、医師の言葉が決定打になりました。
「ヘルメット治療は、生後6ヶ月までに始めないと効果が薄くなります。お二人は、本当にギリギリのタイミングです」
その瞬間、頭に浮かんだのはお金のことではなく、
「もし将来、この子たちが頭の形で悩んだとき、“あのときやっておけば…”と後悔する自分」でした。
5. 「家族のために使うお金」に迷いはない
妻はもともと前向きだったこともあり、私の決断にすぐにうなずいてくれました。
そして私自身も、費用に対する抵抗感はほとんどありませんでした。
働いたお金を、家族のために使う。
それは、私にとってごく自然なことです。
特に、子どもたちの未来や心の安心につながるなら、迷う理由はありませんでした。
一時的な出費は、なんとかなる。
でも、子どもたちが将来感じるかもしれない心の痛みは、お金では取り返せない。
6. そして、私たちは治療を始めた
そうして、私たちはヘルメット治療を始めることにしました。
いろいろとありましたが、治療が終わった今は、「やってよかった」という実感があります。
【次回予告】
次回は、いよいよヘルメット治療を始めた日のこと。
そして、父親として治療生活の中で直面したリアルな現実と、そこにあった小さな発見をお届けします。