共働き妻の本音と、父親が気づいた現実
導入:「善意の提案」が、家族を崩壊寸前にした日
共働きのご家庭で、お子さんが急に熱を出したらどうしますか?
我が家も、息子が熱を出した日。妻の仕事が抜けられないので、私が「じゃあ、俺が在宅勤務で子供を見るよ」と軽い気持ちで提案しました。娘は保育園に連れていくので、何とかなるだろうと思っていました。
しかし、結果から言うと、この判断は 甘すぎました。
「軽い提案」のつもりが、実際には在宅勤務と看病の両立の厳しさを突きつけられ、最終的には 「有給休暇への切り替え」 という決断をすることになりました。
特に、我が家では 「動画やテレビに頼らない」というルール があるため、熱で甘える子供のそばにいながら仕事をこなすのは、正直言って 完全に「無理ゲー」 でした。
「動画なし育児」で在宅勤務が“無理ゲー”化した理由
在宅勤務での育児のコツを検索すると、「会議中は動画を見せる」「午前中に静かに遊べるアプリを使う」といったノウハウがすぐに見つかります。
しかし、我が家の方針では、それらの 「解決策」は最初から使わない方法 でした。
熱でしんどい息子は、普段の何倍も甘えん坊になります。
- 「パパ、かまって」
- 「一緒に遊んで」
- 「絵本読んで」
- 「お腹すいた、つまんない!」と、床を転げまわる…
リビングで息子がおもちゃに集中するのを確認して、そっと離れてパソコンの前で仕事をしていても、息子は私のそばに寄って「かまって」と言い出します。
なんとか仕事を進められたのは、唯一、息子がぐっすり昼寝している数時間だけでした。
「子供の看護をしながら仕事もする」という最初の意気込みは、あっという間に 「子供の甘え」という壁に打ち砕かれ、仕事どころか 「看護すら中途半端」という無力感 に変わっていきました。
「何もしてない」と言われた父親の現実と妻の限界
私が仕事と息子の対応で手一杯だったのは事実です。
しかし、これが妻の イライラの最大の原因 となりました。
普段は私も家事をする方なのですが、この日は看護と仕事で限界でした。
妻が娘を連れて、仕事から帰宅して目にしたのは、きっとこんな光景だったと思います。
- かまってほしいと、泣いて抱き着いてる息子
- ノートパソコンで息子の頭をなでながら、メールを打っている父親
- 昼食の食器が洗い場に山積みになったまま
- 昼食の調理に使ったフライパンや鍋が放置されている
- おむつ交換で苦戦し、汚れたものが片付けきれていないリビング
妻は家の惨状をみて、すぐに息子を抱っこしました。
「ごめんね、しんどかったよね」と声をかけつつ、私を睨みつけました。
私は「ごめん、仕事のメールを返さないといけなくて」と、自分の部屋に逃げ込みました。
しばらく仕事をしてリビングに戻ると、妻は無言で食器を洗っていました。
フライパンは片づけられ、オムツは綺麗に捨てられ、床は綺麗に。息子と娘にお菓子をあげていました。
その日は、妻はほとんど話を聞いてくれませんでした。
これが 「在宅勤務なのに、うちのパパは意味がない」 という気持ちに繋がるのは当然だと、心底反省しました。
「諦める勇気」が夫婦を救う。在宅勤務の限界とその突破口
夫婦で話し合った結果、私たちの出した結論は、「無理なことはしない」という潔い線引き でした。
- 熱でしんどい子供の看病と、在宅勤務の両立は、我が家には 無理。
- 中途半端に頑張って、仕事も看護も家事も崩壊させるくらいなら、やめる。
その日から、私たちは「子供が熱を出したら、無理せず 有給休暇に切り替える」という選択肢を迷わず選ぶようになりました。
夫婦間の無用なイライラを避け、お互いの仕事と家庭への配慮を保つための、最も合理的で優しい解決策 だと私たちはその時は信じました。
有給休暇にさえ切り替えれば、この問題は完全に解決するだろうと。
しかし、私たちはこの後、別の課題に直面することになります。
おわりに:「諦める勇気」も、立派な育児の選択肢
お子さんの年齢やご家庭の方針によって「使える解決策」は異なりますが、もし今、在宅勤務で無理をしてイライラしているパパ・ママがいたら、どうか自分を責めずに 「諦める勇気」も大切 だと伝えたいです。