「あなたはいいよね」――有休をめぐる夫婦のズレ

1. 「あなたはいいよね」のモヤモヤ

子供の検診、予防接種、保育園の面談…。
気づけば、いつも有休を取るのは妻でした。

「なんで私ばっかり?」
「私の有休は家族のために消えていくのに、夫は自分のために使える」

そんな不公平感を抱いたことはありませんか?

実は、かつての僕もその“夫”でした。
妻から「あなたはいいよね、有休を自分のために使えるんだから」と言われても、当時の僕は「え?なんのこと?」と本気で分かっていませんでした。
悪気はなかった。でも、妻の有休が家族のために消えていく現実を、僕は見ていなかったのです。


2. 過去の本音:僕の有休は「緊急時」だけ

僕の頭の中では、有休=「緊急時に使うもの」。
子供が急に熱を出したとき、妻が倒れたとき。そんなときは「俺が休むよ」と言えました。

でも、予防接種や保育園の面談のような予定されたタスクは、完全に「妻がやるもの」と思い込んでいた。
正直、その存在すら把握していませんでした。
だから「妻がやってくれているから、僕は気にしなくていい」と勝手に線引きしていたのです。


3. 妻の現実:有休が「家族のために消える」

妻は当然のように有休を取っていました。
その結果、妻の有休はほとんどが家族のために消える。僕の有休は「自分のため」に残っている。

さらに妻からは、「私の有休も少ないから、あなたも残しておいてよ」と言われました。
理由は「冬は風邪で休むことが増えるから、私の有休だけじゃ足りないかもしれない」。
この言葉で、妻が最初から「家族のために有休を使う気でいる」ことを知ったのです。

あるとき僕は「個人的に有休を使うことは考えてないの?」と聞いてみました。
すると妻は、「取れたら取りたいけど…あなた、協力してくれるの?」とまじめな顔で聞き返してきました。
このやり取りからも、妻が有休を“自分のため”ではなく“家族のため”に使う前提でいることが、はっきりと伝わってきました。


4. 気づきと変化:父親が動くことで変わる

そこで僕は子供の予定を確認し、毎月のようにあるタスクを把握するようにしました。
そして「行こうか」と声を上げるようにしたのです。

最初、妻は「任せても大丈夫かな?」と不安そうでした。
でも仕事も育児も両方あるのはお互い同じ。予定を共有し、行けるタスクは僕が行くようにしたことで、妻も安心して仕事に集中できるようになりました。


5. 結論:有休は「自分のため」だけじゃない

有休は「自分の権利」ですが、同時に家族と過ごす時間をつくれる権利でもあります。
父親が動くことで、妻の不安は減り、「母親がやるもの」という思い込みも少しずつ変わっていく。

もちろん、職場環境によって事情は違います。
父親が子供のために有休を取ることを理解してくれる会社もあれば、そうでない会社もある。
僕は恵まれていたからこそ動けた部分もありました。

それでも、父親が「家族のために有休を使う」姿勢を見せることが、夫婦の不公平感を減らす一歩になると思います。

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